poco a poco

2017.9.26~青年海外協力隊としてザンビアで過ごす2年間の記録。

チテメネシステムについて調べてみたこと その1

11月から本格的に雨季が始まりました。

乾季まで雑木林だったところが、いつの間にか開墾されて見晴らしが良くなってる。

 

 

5月~10月までが乾季、11月~4月までが雨季というように、ザンビアでは季節がはっきり分かれています。

乾季の間、特に5月~8月は全く雨がなくからっとしています。

そして寒い。

ウルトラライトダウン持ってきてよかった!

 

乾季の寒い間は、水不足と寒さのため農閑期に入るらしく、その間は、雨季に得た収入を切り崩しながら生活しつつ、レンガ作りやその他の仕事をして収入を得る人もいます。

 

 

最近ずっと気になっているワード、「チテメネシステム」。

いわゆる焼畑農法です。

なんとなく聞いたことがある焼畑

 

焼畑は森林破壊に繋がっているから良くないというのは何となく聞いたことがあるし、一方で適切な休耕期間を守れば持続的な農法だという人もいる。

 

ここで行われているチテメネシステムの実際はどうなんだろう?

農家はどう思っているんだろう?

 

 

農家から話を聞いたり調べてみると、色々奥が深そうというか、単純に面白そう。

なので何回かに分けてまとめてみようと思います。

 

 

f:id:mycarnavi:20181207020853j:plain

開墾される前の雑木林

 

 

チテメネシステムとは?

 

 

チテメネシステム=焼畑農法

 

主に、ベンバ族(ザンビア北部に住む、4大部族の一つ)によって行われているそう。

南部や東部ではやっていないのかな?

 

灌漑や機械を利用する近代的農法に対して、焼畑は原始的(粗放的)農法に分類されます。

 

そもそも焼畑のイメージが曖昧なので調べてみると、

・畑を作るために未墾の地に火をつけて開墾し、数年おきに移動する。

・最近は、移動スピードが速くなり、休耕期間が短くなっているので地力回復が追い付かず、自然破壊に繋がっている。

 

 

焼畑も色々方法があるようですが、農家によるとチテメネの手順は、

 

  1. ブッシュ(雑木林?)に入って木を切り、それを一カ所に集め、3週間~数か月乾燥させる。
  2. 乾燥させた後に火を入れ燃やす。
  3. 開墾した土地に、ミレット(きび)やキャッサバ、豆類、人によってはメイズを播く。
  4. 次の年は、同じ土地に違う作物を播く。同時に新しい土地を開墾する。

 

チテメネ準備を始めるのは早い人だと、乾季入ってすぐの5月頃から。

大体の人は7月頃から準備を始めるそうです。

9月、10月に火入れが始まるため、この時期はあちこちから煙がのぼっているのが見えます。

特に夜間燃やしていることが多いです。

その理由は、昼間は乾燥しすぎ+風があるため火が広がりやすく、危険だから。

 

 

f:id:mycarnavi:20181207021354j:plain

夜間に火入れをしている様子。火が燃える切るまで放置される。

 

 

調べてみると、木の切り方には、枝だけ切り落とす(幹は切らない)方法と、腰の高さくらいで幹から切り倒す方法があるそうです。

任地では後者の切り方をよく見かけます。

 

規模的にはだいたい1/2ha以下の場所が多いイメージ。

ザンビアでは土地の面積を表すのに「lima」を使います。

1lima=2,500㎡(1/4ha)

基本的に鍬一本で耕すので、一家族で一度に1limaを開墾するのもかなりの重労働に。

南部や東部では牛を使って耕すことが多いそうですが、北部では環境や民族的な違いから牛を飼う習慣がないようです。

 

燃え尽きた後に残った灰が肥料になるため、化学肥料なしでもよく育つそう。

 

おもしろいなと思ったのは、チテメネシステムとクロップローテーションを組み合わせているところ。

チテメネで開墾した土地に、毎年異なる作物を植えます。

 

例えば、

1年目:キャッサバ、ミレットを植える

2年目:キャッサバは収穫まで3年かかるので、ミレットのみ収穫

    ラッカセイと豆を植える

3年目:1年目に植えたキャッサバ、2年目に植えたラッカセイと豆を収穫

4年目:豆を植える

5年目:新しい土地へ移動

 

f:id:mycarnavi:20181205022023j:plain

チテメネシステム クロップローテーション例

 

チテメネに限らず、農家は作付時、計画的にクロップローテーションを取り入れています。

そうすることで、土地が痩せてしまわないように、作物や野菜が病気にかからないようにしています。

 

 

f:id:mycarnavi:20181207031734j:plain

火入れ後、開墾された土地。

 

毎年チテメネで開墾する人もいれば、そうじゃない人もいるそう。

また、人によってチテメネに対するイメージもバラバラ。

 

「チテメネは木を伐採するから環境に良くないんだ。だからやってないよ。」

「チテメネはいいシステムだよ。灰が肥料になるから肥料を買わなくていい。」

 

 ザンビア政府は、森林伐採による降雨量の減少が、農業生産に影響する可能性があるため、チテメネシステムを推奨していません。

 

 そうは言っても、代々チテメネシステムと共に農業を続けてきた人たちからすると、そう簡単にやめられるものではなさそう。

 

実際、焼畑が環境にどのくらい影響するのかは、焼畑の方法や規模、休耕期間等々により変わってくるのだろうし。

ベンバのように伝統的に焼畑を続けている人々は、環境を大きく破壊せずに済む方法を経験的に知っているんじゃないかと、農業や周りの環境に関する彼らの生活の知恵を教えてもらいながら思ったりもします。

 

農業に根差した生活をしているからこそ、チテメネも単なる農法ではなく、彼らの文化のひとつでもあるし、生活形態とも深く関わっているのだとしたら、きっとこれから先も続いていく気がする。

 

 

焼畑と聞くと、海外のプランテーション開発の事例などから、森林破壊を連想する人もいるかもしれない。しかしながら、本来の伝統的な焼畑は、火入れによる撹乱と休耕を合わせることで自然の再生プロセスを促進するものであって、破壊どころか、むしろ環境育成的というべき農業技術だ。

引用元:焼畑:伝統の灯火を守る - OurWorld 日本語

 

 

日本でも昭和30年代頃までは、各地で焼畑が行われていましたが、農業の近代化に伴い焼畑は減少していったそう。

 

そんな中でも焼畑を続け、世界農業遺産に認定された場所があります。

 

takachihogo-shiibayama-giahs.com

 

 

チテメネと鍬一本で耕す農法が、この先いつまで続くのか、いつか終わってしまうのか、それは分からないけれど、焼畑に限らず、伝統とつくものが続いてきたのにはちゃんと理由があるんだなと思う。

何でも簡単に手に入る場所じゃないから、身の回りの資源を活かす。

そのために代々先人が生活の中から得た知恵が詰まってる。

 

 

と、チテメネの話を聞きながら思ったのでした。

 

 

f:id:mycarnavi:20181207020451j:plain

一面真っ赤に燃えている光景。光も全くなく、別世界にいる気分だった。